日本ハーバルセラピー研究協会・オトギリソウ

日本ハーブ 薬草

弟切草/オトギリソウ

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弟切草/オトギリソウ

学名 Hypericum erectum
分類 オトギリソウ科・オトギリソウ属
原産地 日本・朝鮮半島・中国
使用部位 全草(花・葉・根)

概要

弟切草(オトギリソウ)は、日本各地で古くから民間薬として伝わる薬草(日本ハーブ)です。

日本をはじめ朝鮮半島や中国大陸の山麓など、日当たりの良い原野に自生する多年草で、7月~9月頃直径2cmほどの黄色い花を咲かせます。花が終わり10月頃には実をつけ種となります。茎は高さ約30cm~50cm程度で、葉は先端になるほど幅が狭くなり、黒い斑点が特徴的です。

オトギリソウの特徴は、タンニンを豊富に含んでいることです。
中国の薬学著作「草綱目(ほんぞうこうもく)」には小連翹(ショウレンギョウ)という名で記載があり、古くから現在に至るまで生薬として使用されています。
草綱目:中国の本草学史上、最も内容が充実した薬学著作。

「弟切草」という少し怖い和名で呼ばれるようになった由来は、江戸時代に編纂された『和漢三才図会』にその記載があります。

平安時代、晴頼という名の鷹匠がいた。鷹に関する並外れた知識を持ち、傷を負った鷹をたちまち回復させる薬草の知識を持っていたが、決して誰にも漏らしてはいなかった。
しかし晴頼の弟がこの秘密を他人に漏らしてしまい、兄の晴頼は怒りに任せ弟を斬ってしまった。
その血しぶきが葉などに表れている黒い斑点となる。
この事件がきっかけとなり、薬草の効能が広く世間に知れ渡り「弟切草」と名づけられるようになった。
和漢三才図会(わかんさんさいずえ):寺島良安によって江戸時代中期に編纂された百科事典

このように、悲しい物語が和名に込められています。さらに、がまの油売りの口上にも「…ガマの油か弟切草…」と語る地方もあるほど、外傷に対する効果が高く「血止め草」とも呼ばれています。
傷口に生の葉の絞り汁を擦り込んだり、オトギリソウを煎じた液体で湿布する方法が効果的と言われています。

さらに古くから日本各地で行われている使用方法の一つとして「弟切草酒(オトギリソウの焼酎漬け)」があります。

外傷や炎症患部への湿布はもちろんのこと、特に虫刺されに対して効果が高いことから、今でも多くの家庭で作られている事例があります。
さらに、喉の痛みには弟切草酒でウガイをしたり、健康酒として飲用する地方もあるようです。

「弟切草酒」は、オトギリソウの花から根まで(全草)を使い作ります。
採取したオトギリソウを丁寧に洗い天日でしっかりと乾燥させます。乾燥させたオトギリソウ約200グラムを、1.8リットルの焼酎(35度のホワイトリカーなど)に漬け込み、3ヶ月以上冷暗所で寝かせて完成。
液体が次第に琥珀色に変化し、ほんのりと甘い香りになっていきます。

アルコール漬けせずに「オトギリソウ茶」として飲む地方もあります。

日本の弟切草の薬効も素晴らしいのですが、「西洋オトギリソウ」とも呼ばれる「セント・ジョーンズ・ワート」は、古代ギリシャ時代から記録のある西洋の代表的なハーブです。

秋田県のある地域では、オトギリソウを採取するのは土用の丑の日が良いとされ、断崖絶壁のような厳しい地形、厳しい自然環境の中で咲くオトギリソウが最も良く効くとも言われています。

鷹匠晴頼も、このようなオトギリソウの秘密を知っていたのかもしれません。

 

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Photo by Y.Abe , T.Sasaki

※随時、加筆修正をいたします。

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