蓬/ヨモギ
学名 | Artemisia princeps |
別名 | 餅草 Japanese mugwort |
分類 | キク科・ヨモギ属 |
原産地 | 北アジア |
使用部位 | 葉・茎 |
概要
西洋ハーブの女王がラベンダーなら、東洋ハーブの女王は「よもぎ(蓬)」と言ってもいいほど、東アジアを中心に人々の健康を支えてきた最も身近なハーブです。
ヨモギは、北海道から沖縄まで日本全国に自生し、古くから日本人に親しまれ生活の中に根づいている歴史があります。若葉を茹で餅米と合わせてついたお餅を「草餅」として食し、春の訪れを感じてきました。
江戸時代から続く民間療法「お灸」で用いられる艾(もぐさ)は、ヨモギの葉の裏の繊毛から作られ、よもぎ100kgから作られるもぐさは、わずか500gという非常に貴重なものです。そして漢方薬では、ヨモギの葉を「艾葉(がいよう)」と呼び、鼻血、痔、尿路出血、下血などの止血、強壮などに用いられます。
韓国では、ヨモギを煎じて下半身から全身を蒸していく「よもぎ蒸し」が盛んで、約600年の歴史があると言われる民間療法です。ヨモギの薬効成分が全身を温め血行を促進し、特に婦人科系に効果が高いとされ、今では世界中に広がっています。
浄化作用が強いことから世界各国で魔除けのハーブとして用いられてきた歴史があります。日本でも、万葉集の中で邪気を払う植物としての記述があります。
ヨモギには多くの種類がありますが、「カズザキヨモギ」「オオヨモギ(ヤマヨモギ)」が代表的で、オオヨモギは北海道、東北、北陸などに多く、カズザキヨモギは西日本を中心に分布しています。
アルコール度数が高いことで知られるリキュール「アブサン」は、ニガヨモギを主原料とし、フランスを中心としたヨーロッパ各地で作られています。
香りは、みずみずしい若草のような印象で、精油成分には、シオネール、アルファーツヨン、ピネンなどが含まれています。特にシオネール成分は、交換神経を抑え副交換神経を強めるため、ヨモギ独特の香りは深いリラックス効果をもたらします。
ヨモギの葉にはクロロフィルが豊富に含まれ、末梢神経拡張、新陳代謝促進、増血、冷え性など、女性に多い症状に対して有効であると言われています。さらに、アレルギー体質の改善、更年期障害対策、高齢者の認知症予防にも注目されています。
春から初夏にかけて、花が咲く前の成分が充実していると言われています。食材として直接食べたり、ヨモギ茶や青汁にして飲んだり、入浴の際は葉を刻んで浴槽に入れたり、乾燥したヨモギに熱湯を入れ香りを楽しんだりと、ヨモギを使った健康法は数多くあります。
ヨモギの学名アルテミシアが、ギリシャ神話に登場する女神アルテミスに由来するギリシャ語である事からも、ヨモギは古くから女性の味方だったのかもしれません。
若返りを促すと言われる日本ハーブの「よもぎ(蓬)」。より積極的に生活の中に取り入れていきたいものです。
期待される効果効能
- 血中脂質の正常化
- 抗発ガン作用
- 殺菌
- 冷え性
- 更年期障害
- 肌荒れ湿疹
- 貧血
- 腹痛
- 胸やけ
- 下痢
- 便秘
- 血尿
- 痔
- リウマチ
- 不妊
- のどの痛み
- 頭痛
- 高血圧
- 神経痛
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photo by y.abe , S.sasaki
※随時、加筆修正をいたします。